FP・ギョーショ・建設業経理士 受験日誌

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建設業経理士2級 精算表の解き方(2)

こんにちはsk(エスケー)です。

 先日、地元の建設業者さんの事務の若い方と話をしていたら建設業経理士の話題になりました。私が2級に合格したとかは一切言ってませんので、偶然にその話題になったのですが、彼女(女性です)は精算表があまり得意ではないらしいのです。この前こちらでザックリと書きましたが、彼女がみてくれるのを祈って細かく手順を書いてみます。

 

その理由は、「時間がかかってしまう」との事だったので、今回は第22回の第5問を使用して、精算表の手順を説明しようと思います。

問題をよく読む

まずルールの確認です。

  1. 工事原価は未成工事支出金を経由して処理をする
  2. 会計期間は1年
  3. 勘定科目は精算表に指定されているものに記入する

1.の「工事原価は未成工事支出金を~」というのは、工事原価に関する支出(材料費や賃金など)はすべて未成工事支出金に計上する意味だと考えてください。

 

2.は12ヶ月の会計期間ということで、月次で計上している減価償却費や退職手当引当金は12回分計上されてますということです。後から出てきます。

 

3.は 勝手に勘定科目を作るな ということですね。記入されている勘定科目を良く見ましょう。

 

次に整理仕訳に入ります。

ここで注意するのは法人税の中間納付の項目です。22回で言えば<決算整理事項等>の(2)の2ですね。この¥36,500は整理記入には出てきません。後から出てきますので、覚えておいてください。

 

また、未成工事支出金の繰越額は<決算整理事項等>で指定されるの、22回だと(9)で¥1,028,000と指定されるので、そこから逆算していくことになります。これも後から出てきますので、覚えておいてください。

22回第5問 問題文

問題文



整理仕訳の記入

では、順番に仕訳をします。

(1)は帳簿残高より実際の残高が少ないので現金残高を減らします。

(借)販売費及び一般管理費 2,000 (貸)現金 3,000

(借)雑損失        1,000

 

(2)は仮払金の整理です。まず出張仮払金についての仕訳です。

(借)販売費及び一般管理費 9,500 (貸)仮払金 8,500

                           (貸)未払金 1,000

法人税の中間納付分ですが、これは税引前当期純利益が出ないと仕訳できません。

(借)法人税、住民税及び事業税 --- (貸)仮払金 36,500

                            (貸)未払法人税等 ---

ーーーの部分は整理仕訳が完了して税引き前の利益が判明してからしか計算できません。よって、税金が判明する前の整理記入の合計は¥36,500分差があることになります。

私は計算途中で忘れないように横に書いておきました。

 

(3)の貸倒引当金は売上債権(受取手形+完成工事未収金)の2%で、差額補充法ですから、405,000+675,000=1,080,000の2%で21,600となります。残高試算表では20,100計上されていますので次のような仕訳です。

(借) 貸倒引当金繰入額 1,500 (貸)貸倒引当金 1,500

 

(4)は仮受金の整理です。

(借)仮受金 52,000 (貸)未成工事受入金 52,000

(借)仮受金 15,000 (貸)未成工事支出金 15,000

52,000は施工中の工事の受入金ですから(貸)未成工事受入金=債務ですね。

15,000は現場で発生したスクラップの売上ですから、最初のルールに従って未成工事支出金に計上します。

 

(5)減価償却についてです。

現場用の機械装置は予定計上を毎月しているので、その差額を計上します。

発生額 84,000から月額6,900掛ける12ヶ月の82,800引いた1,200を計上します。

(借)未成工事支出金 1,200 (貸)機械装置減価償却累計額 1,200

本社用の備品は定額法で5年償却なので1年分は19,000です。

(借)販売費及び一般管理費 19,000 (貸)備品減価償却累計額 19,000

 

(6)はサクッと

(借)未成工事支出金 24,000 (貸)工事未払金 24,000

です。

 

(7)退職給付金引当額ですが、管理部門は販管費、施工部門は未成工事支出金で処理します。

管理部門

(借)販売費及び一般管理費 17,000 (貸)退職給付金引当額 17,000

施工部門は毎月2,500を未成工事支出金に計上しているので差額を計上します。

31,000から計上済の30,000を引いた残額の1,000の計上ですね。

(借)未成工事支出金 1,000 (貸)退職給付金引当額 1,000

 

(8)の完成工事補償引当金は完成工事高 4,250,000の0.2%なので8,500となりますが、残高試算表に10,700計上されているので2,200減らします。

(借)完成工事補償引当金 2,200 (貸)未成工事支出金 2,200

 

(9)の未成工事支出金の繰越額から整理記入に過不足を記入します。

解っている部分で計算すると、

1,030,000  + (1,200 + 24,000 + 1,000)  - (15,000 + 2,200 )

= 1,056,200 ー 17,200 = 1,039,000

となり繰越額より11,000多くなります。未成工事支出金が減ったということは、完成工事にかかわる支出であると考えられるので次のような仕訳になります。

(借)完成工事原価 11,000 (貸)未成工事支出金 11,000

 

この段階で整理記入の合計を出して、貸借の確認をします。

中間納付の金額の差引を忘れないようにしてください。整理記入後の精算表は次のようになります。

f:id:skoffice:20180627111935p:plain

ここまできたらあと一歩です。頑張りましょう。

当期利益の計算

そして、損益計算書貸借対照表に転記します。計算ミスや貸借の間違い、記入欄のズレには注意してください。

記入して、損益計算書を計算すると差額が120,000となります。

 

これが税引前当期純利益です。

(10)により当期の法人税、住民税及び事業税の額は120,000の40%なので48,000となります。

ここでやっと保留にしていた(2)仕訳ができます。

(借)法人税、住民税及び事業税 48,000 (貸)仮払金 36,500

                            (貸)未払法人税等 11,500

税引き後の当期純利益は120,000から48,000を引いた72,000となるはずなので、貸借対照表に記入して貸借を確認します。

記入後の精算表です。

f:id:skoffice:20180627113046p:plain

まとめ

精算表は手順が多く迷いがちですが、前にも書きましたが、まず仕訳をすること。

わかりにくければ、資産か負債か収益か費用か(あまりないけど)純資産か勘定科目を確認します。

次に整理記入をして、貸借の確認をすること。法人税の中間納付に注意です。

 

そして、損益計算書貸借対照表に転記していきますが、計算ミスや貸借の間違い、記入欄のズレには、何度も言いますが、注意してください。過去問をやっているときに、個人的には貸借の間違いが多かった記憶があります。

 

大体間違えるところは同じところが多いので、注意しましょう。

 

 私は、1.損益計算書から税引前当期利益を出して、2.税金を計算して、3.整理記入をして、整理記入の貸借を確認して、4.貸借対照表に未払法人税等と当期利益を記入して貸借の確認 という手順をしました。

 

建設業経理士2級においては、電卓の速さは普通で大丈夫です。私もそれほど速いほうではありません。それでも精算表の過去問を何度かやっていると試験1週間前には30分で最後まで記入して、計算できるようになりました。

 

あせらないで、通常の業務でやっているような速さで打てば十分間に合います。

 

苦手意識をなくして、精算表に取り組めますように。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。