第25回建設業経理士検定試験 2級をやりました-その5
こんにちはsk(エスケー)です。
3月10日に実施された第25回建設業経理士検定試験の2級の問題、今回は第5問精算表の残りをやります。
第5問-2
順番に見ていきますが、(5)以降を解いていく順番は(私の場合ですが)
まず(6)、(7)、(9)の仕訳をします。その後(5)、(10)、(8)を仕訳して最後に(11)の計算をします。というのは、(5)、(10)、(8)、(11)の計算の元になる数値がほかの問題によって変わる可能性があるからです。
たとえば、(5)であれば工事未収金や受取手形、貸倒引当金(8)であれば完成工事高や完成工事補償引当金の金額が変わる可能性があるうちは仕訳をしないということです。
そして、全ての仕訳が終わってはじめて税金と当期純利益の計算ができます。
ではまず(6)の退職給付引当金ですが、相手方勘定科目は
本社事務員 → 「販売費及び一般管理費」
現場作業員 → 「未成工事支出金」
となります。
仕訳 本社事務員
(借方)販売費及び一般管理費 24,000 (貸方)退職給付引当金 24,000
現場作業員については「月次原価計算で月額¥4,500を未成工事支出金に予定計上」とありますので、毎月
(借方)未成工事支出金 4,500 (貸方)退職給付引当金 4,500
と言う仕訳=退職給付引当金の計上をしていたわけです。決算時では12か月分ですから
¥4,500 × 12ヶ月 = ¥54,000 計上されています。
「現状でなされている仕訳」は
(借方)未成工事支出金 54,000 (貸方)退職給付引当金 54,000
計上すべき現場作業員の退職給付引当金は年額で¥52,000とされています。
「本来やるべき仕訳」は
(借方)未成工事支出金 52,000 (貸方)退職給付引当金 52,000
という仕訳です。
本来の仕訳より¥2,000多く計上されていますので、退職給付引当金を¥2,000減らします。
仕訳 現場作業員
(借方)退職給付引当金 2,000 (貸方)未成工事支出金 2,000
(7)の「現場作業員の賃金の未払分」は勘定科目の「工事未払金」に計上されていますので次のような仕訳になります。
仕訳
(借方)未成工事支出金 5,000 (貸方)工事未払金 5,000
次に(9)を考えます。
問題文より、販管費の中に「当期の12月1日に支払った向こう3年間の保険料が含まれている」とあります。考えることは3つです。
1 1ヶ月あたりの保険料はいくらか?
2. 支払った保険料のうち当期以外の金額を販管費から除外すること。
3. 除くべき保険料は「1年以内に費用となるもの」=「前払費用」と「1年を超えて費用となるもの」=「長期前払費用」に分けて計上することです。順にやってみます。
1. 1ヶ月あたりの保険料 36,000 ÷ (12×3)=1,000(1ヶ月あたり)
2. 12/1支払なので12、1、2、3月の4か月分が当期の保険料 = 4,000は当期の(保険料という勘定科目がないので)販管費となります。したがって
36,000 - 1,000×4 = 32,000(当期以外の保険料)となります。
3. 1年以内に費用となるのは12か月分なので 1,000×12=12,000で、1年を超えて費用になるのは 32,000ー12,000=20,000です。
以上より、必要な仕訳(当期分の4,000は仕訳不用)は次のようになります。
仕訳
(借方)前払費用 12,000 (貸方)販売費及び一般管理費 12,000
(借方)長期前払費用 20,000 (貸方)販売費及び一般管理費 20,000
なお、前払費用・長期前払費用はともに資産項目なので貸借対照表の勘定科目です。
(5)の貸倒引当金の計上ですが、差額補充法という指示がありますので、現在の残高に対して加えるか差引かで仕訳をします。
当期の貸倒引当金額は、売上債権の受取手形と完成工事未収入金の合計に2%を掛けて求めます。(874,000+1,286,000)×0.02=43,200が当期の貸倒引当金額となります。
43,200ー39,200=4,000なので、仕訳は次のようになります。
仕訳
(借方)貸倒引当金繰入額 4,000 (貸方)貸倒引当金 4,000
(8)の完成工事高に対する完成工事補償引当金の計上ですが、これも差額補充法という指示がありますので、現在の残高に対して加えるか差引かで仕訳をします。
完成工事高 3,150,000×0.002=6,300なので、当期の完成工事補償引当金の金額は6,300となります。
現在の完成工事補償引当金の金額は 7,600-4,200=3,400です。
6,300ー3,400=2,900 を完成工事補償引当金に計上します。相手方勘定科目は未成工事支出金です。
仕訳
(借方)未成工事支出金 2,900 (貸方)未成工事支出金 2,900
(10)に関しては、未成工事支出金の繰越額から逆算します。
今までの仕訳から未成工事支出金は
783,000 + (2,000 + 5,000 + 2,900)ー2,000 = (借方)790,900 です。
(借方)789,300が繰越金額なので、790,900-789,300=1,600多くなっています。
未成工事支出金を減らすと言うことは、修正仕訳以外では「工事が完成した場合」になるので、相手方の勘定科目は「完成工事原価」になります。
仕訳
(借方)完成工事原価 12,000 (貸方)未成工事支出金 12,000
やっと最後にたどり着きました。整理記入をしたら損益計算書と貸借対照表に繰越金額を記入していきます。
「未払法人税等」と「法人税、住民税及び事業税」以外を記入したら当期純利益を求めます。
当期純利益があれば損益計算書の仮の合計は借方が少なくなりますし、貸借対照表は貸方が少なくなります。
この金額が税引き前の利益です。
損益計算書合計すると(借方)2,873,200で(貸方)3,207,200です。
税引前当期利益は3,207,200-2,873,200=334,000となります。
したがって法人税、住民税及び事業税は334,000×0.4=133,600となります。
損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」のところに133,600を記入し、合計を計算し記入します。ここで借方と貸方の差額が 334,000-133,600=200,400であれば精算表はほぼ完成です。勘定科目の欄に当期「純利益」と書いて、200,400を総益計算書の「当期純利益」の欄に記入して合計します。
未払法人税等は整理記入に先ほど計算した「法人税、住民税及び事業税」を記入し、
「未払法人税等」の欄は 133,600-87,000(中間納付額)=46,600となります。
整理記入の合計が一致していれば大丈夫です。一致していなければどこかが間違っています。
貸借対照表の「未払法人税等」の欄に記入して合計します。貸借対照表の貸方の合計が損益計算書で求めた当期純利益の額と一致すれば完成です。
まとめ
以上、やっとすべて終わりました。
各記事のリンクと完成した精算表を置いておきますので、参考にしてください。
リンク
第5問 精算表 後半(この記事です)
完成した精算表
最後まで読んでいただいてありがとうございます。